古い住宅の外壁リフォームや塗装で気をつけることは?(2023年6月13日 現場ブログ更新)

こんにちは、川崎市宮前区リフォーム会社の村木です。

外壁リフォームを外壁塗装だけで済ませるという方は決して珍しくありません。なぜなら、費用が一番安く、外見も容易に繕えるためです。しかし、長年住んでいた古い住宅をリフォームしたいからといって、外壁塗装だけするのはあまりおすすめできません。

そこで、古い住宅の外壁をリフォームするときや塗装するときに気をつけることを解説します。

1.築数十年の住宅に塗装の塗り直しは悪手

住宅の外壁は、経年により劣化して、塗装がうまくいかないことも少なくありません。塗ってすぐに塗膜が落ちてしまえば、本来得られるはずだった塗料の性能も機能しないのです。このように、外壁を変えずに塗装してリフォームに失敗するのでは本末転倒です。

特に築数十年の時間が経過して、一度も壁の張替えなどをしていないというケースでは、住宅の古さと外壁の劣化が比例しています。塗装だけでは済まないでしょう。一般的には、塗装の前に外壁リフォームで重ね張りや張り替え、補修などして、その上から塗装するのが最適です。

2.カバー工法がダメだったら?張り替え工法や補修工事

塗装だけでリフォームが完了すれば予算的にも助かるでしょう。しかし、これまでの経年劣化や外壁トラブルなどを踏まえた上ですべてを塗装の塗り直しだけで帳消しにするのは難しいものがあります。そこで、カバー工法を選択するという手もあります。

しかし、実は、カバー工法で重ね張りするためには外壁材に制限があるなどのデメリットがあります。そこで根本的に解決するために張り替え工法で外壁を一新して、新たに塗装を施す方法が一般的です。

(1)カバー工法では難しいケースとは

カバー工法は、張り替え工法に比べて費用が安く抑えられることや工期が短いため、手軽に実施できるとして人気があります。しかし、外壁の劣化が進んでいる場合や希望の外壁材への変更にカバー工法が向かないなど、いくつかの制限が存在します。

もちろん、住宅が築数十年だから「直ちに張り替えしなければいない」というわけではありません。外壁の状況を専門の業者が判断して、カバー工法が可能かどうかを決めます。問題なければカバー工法を採用することもできるでしょう。

しかし、リフォームが必要とまで感じていて、「いままでメンテナンスもほとんどしてこなかった」という場合、外壁の劣化は十分に考えられるのです。そのため、「カバー工法では難しい」となるケースは十分にありえるでしょう。その場合の代替案として、張り替え工法やシーリング工事、補修工事などの外壁リフォームが選択肢となるのです。

(2)張り替え工法とは

張り替え工法は、外壁材を撤去して新しい外壁に張り替える方法です。同時に防水シートの取り替えなども行うため、防水面でも強化できるというメリットがあります。例えば、タイル張りの住宅だった場合、部分的な剥がれや反り、ひび割れなどに対して、この張り替え工法を使うことができます。

外壁リフォームを塗装の塗り直しだけで済ませようとした場合にうまくいかないのは、この張り替えの工事を挟まずに直に塗装をしてしまうためです。表面的な塗装の劣化ではなく、外壁そのものが劣化して塗料が剥がれ落ちることになります。張り替え工法なら劣化した外壁よりも耐震性を上げられますし、内側のメンテナンスも同時に行えます。

ただし、モルタルやコンクリートは張り替えできないというデメリットがあります。これは「張り替える」という方法が、モルタルやコンクリートでは使えないことが原因です。モルタルやコンクリートは本来、セメントと水・砂などから作られており、外壁になった時点で固まって、シーリングなどのつなぎ目などもありません。

そのため、補修工事となり、張り替え工法が使えないのです。ただし、外壁を別の種類に変えることはできるため、サイディングなどの重ね張りをモルタルの上から行うことはできます。

3.まるごとリフォーム

住宅の耐用年数が過ぎて外壁が目に見えてリフォームが必要という場合に、住宅全体をリフォームすることも視野に入れましょう。なぜなら、外壁が明らかに経年劣化している場合、住宅の他の箇所も劣化が進んでいるからです。

細々と内壁や屋根のリフォームをすでにしていた場合も、メンテナンスの周期を揃えるために改めてリフォームをするというのもありです。リフォーム時期はばらつくことによって費用や作業効率も悪くなります。しかし、同じ時期に屋根や外壁などをリフォームできれば、同じ足場の共有や同時期の打ち合わせ、コスト低減など、メンテナンス時の負担が最小限に抑えられるのです。

◆ 建築材の内部劣化があるなら、建て替えも視野に入れる

張り替え工法は、元の外壁材の種類によって制限を受けるため、リフォームの選択肢はすべてが自由というわけにはいきません。また、住宅の全体的な劣化具合によっては、部分的なリフォームでは対処が難しいというケースもあります。そこで検討したいのが「建て替え」です。

予算は張り替えの比ではありませんが、建て替えでは外壁をまるごと自由に変えられるだけでなく、耐震性の向上や住宅としての耐用年数のリセットなどが可能となります。

ただし、注意点として建て替えは多くの費用がかかる上に、同じ土地にもう一度自宅を立てるためには土地の状況も見極める必要があります。建築基準法では土地に住宅を建てられるかどうかは細かくルールが決まっていて、古い住宅ほど現在の建築基準法ではもう一度立て直すことができないケースも想定しておく必要があるのです。

4.外壁塗装の塗り替えが大丈夫なケース

外壁の劣化がほとんど進んでおらず、塗装環境に問題がないケースでは、リフォームに塗装の塗り替えを選べます。塗装の塗り替えは、張り替え工法やカバー工法よりもずっと低い予算でメンテナンスやリフォームが完了するのです。では、外壁塗装の塗り替えが大丈夫な住宅のケースについて以下に紹介します。

(1)新築からまだあまり時間が立っていない

外壁塗装だけでリフォームが可能な場合として、新築の建設時期からあまり時間が経っておらず、外壁の劣化があまり進んでいないケースです。外壁よりも先に塗料の耐用年数が来るため、最初のリフォームは外壁塗装の塗り替えだけで十分というわけです。

もちろん、リフォームは劣化や性能の維持だけではなく、外見的なデザインもリフォームをする理由となります。その場合は、塗装の前に張り替え工法の条件や施工の流れについても施工会社に相談しましょう。

(2)定期的に外壁のメンテナンスや再塗装をしている

次に、中古住宅や新築からずっと住み続けて耐用年数を経過した場合です。定期的に外壁のメンテナンスや再塗装をしている場合には、外壁の劣化がそれほど進んでおらず、再塗装だけでもリフォーム可能なことがあります。

当然ながら、住宅購入後からずっとメンテナンスせずに劣化が目立つ場合は、外壁塗装だけでリフォームするのは困難です。塗装をする理由はデザイン性もありますが、基本はその性能にあり、外壁や住宅を守るという意味が強いといえます。

劣化した外壁に塗装することで性能が落ちたり、塗膜が剥がれて性能を発揮できないのではリフォームの意味がなくなってしまうのです。むしろ外壁がダメージを受けてそのままではまずいでしょう。そういう観点からも「塗装だけ」と「張り替え」の選択肢は、常にあったほうがよいのです。

5.まとめ

今回は、古い住宅の外壁リフォームや塗装で気をつける点として、塗装以外の選択肢や塗装が大丈夫なケースについて解説しました。

外壁リフォームや塗装については、さまざまな条件が存在します。外壁材の劣化具合や使用した外壁材の種類によっては、塗装の前にカバー工法が使えないケースもあるのです。したがって、張り替え工法や補修工事なども検討する必要があります。

場合によっては、リフォームの自由度を高めるためにまるごとリフォームや建て替えなどをしたほうが手っ取り早いケースもあるかもしれません。いずれにしても、DIYでは正確な外壁の診断ができないため、リフォーム前に一度外壁の状態を確認する意味でも専門の業者に相談してみましょう。

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